山妣

 母親が勤めに出ていた頃、片道小一時間の電車の中で、坂東真砂子氏のこの小説を読んでいたのを覚えている。

 うちの母親は堅物だ。

 だから、きっと、この小説は、中学高校の推薦図書になるようなお話なのだ。
 
 そう思っていた。

 先日、実家でふと手に取って持って帰ろうとすると、「それ、面白かったよ」と母親。

 以下、新潮社サイトの上巻の紹介文。

「明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。小正月と山神への奉納芝居の準備で活気づく村に、芝居指南のため、東京から旅芸人が招かれる。不毛の肉体を持て余す美貌の役者・涼之助と、雪に閉ざされた村の暮らしに倦いている地主の家の嫁・てる。二人の密通が序曲となり、悲劇の幕が開いた――人間の業が生みだす壮絶な運命を未曾有の濃密さで描き、伝奇小説の枠を破った直木賞受賞作。」

 いざ読みてみれば、紹介文、なお甘し。

 不毛の肉体とは?それ、密通って言葉で済ませてエエの??みたいな。

 お母様、これまであなたを見る目が間違っておりました。

 余談ですが、タヒチで飼い猫が子猫を産むと、谷に投げ込んで殺すエッセイストの女性のことが数年前、話題になってましたけど、この方こそ、作者の坂東さんだったんですね。

 濃い人。
  
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by sitejm | 2008-07-22 22:03 | 読書も好きです(いろいろ)