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【翻訳記事】幸運の4つの原則

 以下、リチャード・ワイズマン氏の記事をThe Teregraphより翻訳。

 10年ほど前、私は運について研究を始めた。
 私は偶然が人々の生活に与える影響を調べたかったのだ。幸運はまさに適切な時期に、適切な場所へやって来るのか。
 さまざまな実験を経て、私は今、なぜ一部の人はほかの人より幸運なのか理解した。
 そして私たちは、今より幸運になれることを確信している。

 研究に着手するため、私は国内の新聞や雑誌に、日常的に幸運だと感じている人と、不運だと感じている人から、私に連絡してもらうよう、広告を掲載した。
 私の実験には、さまざまな生活を歩んでいる400人の男性や女性が、何年間もの間、ボランティアで参加してくれたのだ。若い人は18歳の学生から、最高齢は84歳の引退した会計士まで。

 ジェシカは42歳の法医学者で、典型的な幸運のグループの一人だった。
 彼女は、

「私は夢だった仕事について、2人の素晴らしい子供に恵まれ、そして夫をとても愛しているの。本当に素敵だわ。人生を振り返ると、私はどこにいてもずっと幸せだったのだと気づいたわ」

という。

 一方、34歳の介護助手のキャロラインは、典型的な不運なグループのメンバーだ。
 彼女はある1週間のうち、道端のくぼみで足首をひねり、別の日には転んで背中を負傷し、また、車の運転の練習中、バックで木に突っ込んでしまったのだ。
 彼女は恋愛においても不幸で、いつも最悪の時間に最悪の場所にいると感じていた。

 何年もかけ、私はこのボランティアの被験者らにインタビューを行い、日記を書くように依頼した。また、アンケートや知能テストを受けてもらい、実験に参加するよう呼びかけた。
 その結果、明らかになったのは、不幸な人たちは、自分の幸運や不運の本当の原因について、ほとんど洞察できておらず、彼らの思考や行動が彼らの運の大部分に関与しているということであった。

 幸運を得る機会について考えてみよう。
 幸運な人々は、一貫してこうした機会に遭遇するが、不幸な人たちはちがう。
 私は簡単な実験を行い、この差は彼らの運を発見する能力の違いによるのかどうか、確認することにした。
 
 私は幸運な人々と不運な人々に、新聞を渡した。
 そして、それを読み、何枚の写真があったか、私に報告するよう指示した。
 不運な人々は、写真を数えるのに平均して2分かかったが、幸運な人々はわずか数秒であった。

 なぜだろうか。

 これは新聞の2枚目のページにメッセージが書かれていたからだ。

 「読むのを止めて。この新聞には43枚の写真があります」
 と。

 このメッセージはページの半分に、2インチ以上の大きさの文字で書かれていた。

 このメッセージは全ての人をまっすぐに見つめていたが、不運な人々はこれを見落としがちで、幸運な人々は、それを発見することができたのだ。

 面白いので、私はこの新聞の途中に、二つ目の大きなメッセージを書いておいた。

「読むのを止めて。これを見た、と実験者に伝えれば、250ポンドもらえます。」

 またもや、不運な人々はこの幸運を見落とした。彼らは写真を見つけるのにとても熱心だったからだ。

 個人的な試験においても、不運な人々は、概して幸運な人々より緊張気味であることがわかった。
 また、この研究から、不安は予期せぬ出来事に気づく力をダメにすることがわかる。

 ほかの実験では、被験者らは、コンピューターの画面の中央の動く点を見つめるように指示される。何の警告もなく、大きな点が時々、画面の端でフラッシュすることがある。
 ほとんどの被験者が、この大きな点に気づいた。
 
 次にほかの被験者のグループに対し、正確に中央の点を見つめていたら大金を得られる、と指示した。これによって、不安を与えたのだ。
 彼らは中央の点を見つめ続け、その3分の1が画面に現れた大きな点を見落としていた。
 見れば見るほど、見えなくなるのだ。

 つまり、これが運だ。

 不運な人々は、別の何かを探すのに夢中になりすぎて、好機を見落とすのだ。

 彼らは完璧なパートナーを求めてパーティーへ赴き、その結果、素晴らしい友人を得る機会を見逃すのだ。
 彼らは新聞を見て、ある種の仕事の広告を見つけるが、ほかの仕事を見落とす結果となる。
 幸運な人々は、もっとゆったりと、心を開き、自分が求めているものだけでなく、そこにあるものに気づくのだ。

 研究によって、幸運な人々は、4つの基本原則を介して幸運をつくりあげることが分かった。

 彼らは運に出会い、気づくのがうまい。

 彼らは自分の直観を聞き分け、幸運な決定を行う。

 そして、前向きな期待を持つことで、自己実現のイメージを高め、

不運を幸運に変換する弾力的な行動をとるのだ。

 私はこれらの4つの基本原則が、人生に出会う幸運の機会を高めるのではないかと考えた。
 そのため、私は「運の学校」を作った。
 簡単な実験を行い、幸運な人と同じ考え方や行動をすることで、人の運が強まるかどうか調査を行った。

 私は幸運なグループと不運なグループのボランティアたちに、1か月間、彼らが幸運な人のように考え、行動するための練習を実施してもらうよう、依頼した。
 これらの練習や、運を見つけやすくし、直観をきき、幸運になるという期待を高め、不運に対して弾力的になる力を改善する。
 
 1か月後、ボランティアたちが戻って来た。そして、何があったかを話してくれた。
 結果は劇的なものだった。
 80%の人が、幸せになっていて、人生に満足感を得た。
 そして、ここが最も重要であるが、より幸運になっていたのだ。

 幸運な人々はさらに幸運に、不運な人々は幸運になった。

 キャロラインを見てみよう。この記事の冒頭で紹介した人物だ。

 「運の学校」を卒業後、彼女は3年もかかっていた自動車学校のテストに合格し、もはや「事故多発」人物ではなく、自信に満ちた人であった。

 この研究を始めたとき、私は幸運を最大級にするための3つの簡単な技術があると考えていた。
 
 不運な人々は、選択を行う場合、自分の直観に従うことをしないが、幸運な人々は、自分の勘を尊重する。
 幸運な人々は様々な出来事に対し、自分がどう考え、どう感じるかに興味がある。単にものごとの合理的な部分だけを見ることはしない。
 私はこのことが幸運な人々をサポートしているのだと考えている。
 つまり、腑に落ちない感じがアラームとなり、注意深く決断する理由となるのだ。

 不運な人々は日々の雑務に追われている。
 彼らは毎日同じ道を通って通勤し、パーティーでは同じような人々と話す。

 一方、多くの幸運な人々は、自分の人生にさまざまなものごとを招き入れるのだ。

 たとえば、ある人は、パーティー会場に着くまでに、色について考えていたことを述べ、その色の服を着ている人々に自己紹介をした。
 このような行動は、多様性によって、幸運を得る可能性を向上させる。

 幸運な人々は不運の肯定的な側面を見ようとする。

 彼らは、どれほど物事が悪化し得たかを想像する。

 あるインタビューでは、幸運なボランティアが、足にギプスをつけて到着した。
 彼は、階段からどのように転がり落ちたか説明してくれた。
 私は彼に、それでも幸運か、と尋ねたところ、彼は元気にこういった。
 
 前よりラッキーだと思ってますよ。
 
 首を折っていたかもしれないから、と彼は言った。

(以上、The Teregraphより翻訳。面白かった~!!)

by sitejm | 2014-08-20 22:33 | 心理学