ムーミン谷の彗星
ムーミンははまります、やっぱり。
平和なムーミン谷では、彗星が地球に向かってくるというので大騒ぎ。
ムーミントロールは仲良しのスニフと遠くの天文台に彗星を探る旅に出るのです。
児童書なんだけど、これが案外、ドキハラなんですよ。
間が抜けた感じのムーミントロールが滝つぼに落っこちそうになったり、植物に襲われながら、勇敢に困難にぶつかる様子は、「ドラえもんとのび太の大冒険」状態。
そして、なんとも言えない児童書の世界。
ムーミンとスニフが海辺に出かけたところ、ムーミンは真珠を、友達のスニフは、洞窟を一人で発見します。
二人とも内緒にしたい気持ちがあるのに、ムーミンママに言いたくてたまらないので、
ムーミン:「ぼく、でっかい波の中へもぐって、いいものをうんとたくさん見つけたよ。はじめが『し』で終わりが『ゆ』になる、とってもいいもの・・・・・・。でも、それがなんだかは、いえないよ」
スニフ:「ぼくは、はじめが『ど』で、終わりが『つ』のものを見つけたよ。そしてね、真ん中に、『う』や『く』があるの。でも、それ以上は、いえないや」
はじめが「ど」で、終わりが「つ」、真ん中に「う」や「く」て、そのままやん!みたいな。
こういうおとぼけな二人を思わずぎゅっと抱きしめたくなりますね。
そして、自分がとりわけ気に入ったのが、この物語がムーミンの原点らしいところです(ムーミンシリーズの一番目という意味ではありません。)
ムーミンファンには「彗星」と呼ばれるこの物語から、ムーミントロールやちょっとひねくれた小動物のスニフ、ムーミンパパ・ママ、そして日本人の愛するスナフキンが登場するのです。
また、ムーミンのガールフレンドのスノークの妹も登場します。
ワテクシはムーミンもそのガールフレンドも同一種かと思っていたのですが、ムーミンは白いけれど、ガールフレンドのスノークの妹やスノークは、感情によって色が変わるらしいのです。
子供のころ観たムーミンのアニメは、かなり記憶が薄く、色がどう変わっていたのか覚えがありません。
でも、大人になってから、ごくたまにムーミンのイラストを見つけると、女の子の色がさまざまに変わっていたりして、なんだかいい加減だなあ、と思っていたものです。
こんな具合にムーミン谷の登場人物の生い立ちや関係が描かれているので、ムーミンシリーズを初めて読む人は、これから読むといいのかもしれません。
翻訳は「山室静」さんのが原点かと思っていたのですが、下村隆一さんが初めてムーミンシリーズを訳した方のようです。
下村さんは足が悪く、杖をついて歩いていたところに車がぶつかってきたのでなくなったそうです。
そのため、山室さんがムーミンシリーズを引き継ぐことになったそうですが、下村さんの訳と山室さんの訳はトーンが合っていてほとんど違和感がありません。それがすばらしい。
by sitejm | 2013-06-13 23:30 | 読書も好きです(いろいろ)