マッコウクジラとイルカ
異質な生物種との関係には多くの疑問点があがった。
観察結果によると、イルカの接触に対して、偉大なクジラたちは優しく挨拶を返し、愛情とも見られるサインを彼女に何度か返していた。
科学調査員のアレクサンダー・ウィルソンによれば、
「イルカは群れをなす哺乳類で、他の生物としばしば泳ぐこともある。
しかしながら、マッコウクジラは非常に遠い距離を移動しながら狩りを行い、深く水中に潜る。
また、彼らは非常にシャイで、他の生物が近くにいることを好まない。
したがって、イルカとこのように共生する例はこれまで観察されていない。」
という。
しかしながら、問題のイルカは正常とはいえなかった。
彼の背中はS字に湾曲しており、これがクジラの群れに受け入れられる何らかのきっかけとなったのではないかと研究者らは考えている。
障害のあるこのイルカは、本来のイルカの群れについて行くことが困難で、イルカより動きがゆったりしたマッコウクジラの群れについて行くようになったのではないかと考えられている。また、単に異なる生物種であるという意識がないか、潜在的な捕食者から保護されるためではないかとも考えられる。
異なる生物種が仲良く共生することは自然界ではしばしば見られる。
こうした共生は短期間のみ行われ、たとえば捕食者から身を守ったり、食料を得る能力を増大させたりするために行われるものである。
社会的な動物が、感情のギャップを埋めるために他の動物と協力することもある。
しかし、恐ろしいマッコウクジラたちがなぜイルカを受け入れたのか。
研究者らは、イルカは、マッコウクジラの群れにとって脅威ではなく、その外観から、ただ幼いクジラとして歓迎されたのではないかと考えている。
クジラの群れはゆっくりと泳ぎ、大人のクジラが深く潜るときは、水面近くに必ず子供のクジラと守衛のクジラを置くため、このイルカはクジラの群れと共生することができるのだ、とアレクサンダー・ウィルソンは述べている。
英国セントアンドリュースの生物行動学者リューク・ランデルは、非常に稀な現象について、この観察が果敢に行われたものであることは認めながら、この状況下ではマッコウクジラの意識はそれほど重要ではないという。彼によると、マッコウクジラは単にイルカがいるのが嬉しいか、赤ちゃんクジラだと思っているかのどちらかだという。
この研究結果は、「水生哺乳類」誌に掲載されている。(Radio-CANADAより)
by sitejm | 2013-01-27 16:39 | 科学