ブタは最も近いご親戚?
この調査結果は生物医学的研究の研究対象としてブタが妥当な対象であることを一層確かにするものである。
国際コンソーシアムが行ったブタの遺伝子の研究には、10年以上もの時間をかけられ、何人もの研究者がかかわっている。
研究者らは飼いブタ(サス・ススロファ・ドメスチカス)とヨーロッパとアジアに生息する野生のイノシシ10頭の遺伝子を比較した。
また、ヒト、マウス、犬、馬そして牛の遺伝子も比較した。
ブタとイノシシの遺伝子はいずれもヒトの遺伝子と一致する部分が多かった。
特に適応力やテリトリーを作り、グループで生活する能力においては売り辞していた。
また、ブタもイノシシも、生活条件が自らに適したものとするために、生活習慣を壊して野生化することも可能であった。
医学的に、ブタは解剖学的にも生理学的にもヒトに非常に近い存在であることが知られている。
循環器系(大動脈)外科手術や治療のためのヘパリン(抗凝固剤)の製造では、ブタがヒトの代わりに使われている。特に臓器移植では非常に適した代替物となる。
この新たな遺伝子解析では、ブタが家畜化された1万年前からすでに類似性があったことが判った。
遺伝子学者らは、ブタの病気の中には、ヒトのそれら、つまり肥満、糖尿病、パーキンソン病、そしてアルツハイマーなど、無数にあることを発見している。
エディンバラ大学のアラン・アーチボールド研究員はブタは、ヒトの病気やその治療法を研究するために非常によい調査対象となりうると考えている。
紀元前530万年前から350万年前頃、東南アジアで飼いブタの祖先が現れ、これらがユーラシア大陸に移住した。アジアとヨーロッパの野生のイノシシは100万年前に登場しており、これらは飼いブタとは異なる亜種と考えられている。
ブタの遺伝子研究の特徴は、ヒトに飼いならされたという環境を理解することにある。
たとえば、ヒトが嫌いな食べ物を食べることができることが、ヒトとブタの関係に関与していると考えられている。
ブタはヒトやその他の哺乳類の持つ嗅覚遺伝子1301を多数持っているため、嗅覚が非常に優れている。
そのため、ブタはトリュフ探しに使われている。
しかしながら、味覚には改善の余地がある。
ブタにはヒトより苦味を感じるセンサーが少ないためである。
さらにヒトとブタでは甘味を感じるセンサーも遺伝的に異なっている。
この動物は非常に塩辛いものなど、ヒトが美味しいと感じられないものでも飲み込むことができ、これらがヒトとブタの関係に役立ってきたのである。(RADIO-CANADAより)
>>豚肉が食べられなくなりそうです。こんないい笑顔を見せられちゃったりしたら。
by sitejm | 2012-11-17 20:56 | 科学