カテゴリ:読書も好きです(森村誠一作品)( 51 )

霧の神話

d0051212_2056047.jpg 化粧品会社のエリート社員・魚住は、単独登山中、雪盲になり、途方に暮れる。そこに女性が現れ、彼女に救われる。彼女とホテルで一夜を過ごすが、翌朝、彼女は名前も告げずに去ってしまう。魚住がホテルの記帳で確認したところ、彼女の名前は「草野夕子」とあった。
 魚住はその後、見合いをするが、相手は「草薙夕起子」という美しい女性だ。登山で出あった「夕子」という女の顔は、雪盲だったので分からない。しかし、魚住は夕紀子という女性こそ、「夕子」かもしれない、との思いで彼女と結婚する。互いに強く結びつくが、夕紀子は何か秘密を隠し持っているようで・・・・。

 「腐蝕の構造」のミニチュア版という感じで、なかなか面白かったです。

 この頃(70年代~80年代前半)の森村作品は、結ばれた二人が、最後に死んでしまったり、行方知れずになることが多いのですが、これはまた新たな悲しいパターン。
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by sitejm | 2007-02-03 21:07 | 読書も好きです(森村誠一作品)

死紋様

d0051212_20454672.gif 都内デパートから文具メーカーに振り込まれるはずだった売掛金が、何者かによって銀行口座が変更され、盗まれる。犯人の一人と思われる女の死体が発見された場所には、長靴の足跡。足跡には松の葉のような模様が残っていて・・・・。

 というようなストーリーで、女子高生が登場したりして、複雑に進んでいきます。
 援交のハシリみたいなのが出てくるところは、時代を読んでいるというのか、当時(70年代後半)も今も変わりないということなのか。

 ストーリーの展開は、これまでとちょっと違う感じもしますが、自分はそれほど好きではない作品です。

(余談: 最近は、「森村熱」もようやく冷めていたのですが、先週、仕事の関係で、とあるところに一週間もの間、軟禁状態にされてしまいました。
 そこには同じように軟禁された人々が、たくさんの図書を残しておいてくれていたので、その中にあったのを読みました。)
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by sitejm | 2007-02-03 20:54 | 読書も好きです(森村誠一作品)

星のふる里

 森村誠一氏の作品は、タイトルも魅力的だ。
 イメージで言えば、セザンヌの絵画のような男性的な強さと神秘を秘めたような。

 ところが、この作品、 なんでこんなメルヘン的タイトル?と思ったら、「婦人公論」の依頼による初の女性向け作品だったからみたい。

 面白いことは面白いけれど、かなり不自然な部分もあり、森村作品らしくないのは、やはり「婦人公論」の豪腕編集者が手に手を入れたためらしい。

 優しくスマートで完璧な夫を持つ妻が、夫の変化にある日気付いたときには、十歳以上も年下の愛人と2年越しで深く付き合っていた。

 一方、よく言えば純真、悪く言えばバカなのにそれに気付きもせず、抜け抜けと他人様の夫と真に愛し合っているのだと訴える若い女。

 二人は男がある日、自分たちに知らせることなく行方をくらましたことを知る。

 いずれの立場も、また人に突然、行方をくらまされるのも経験済みの人間には、随分きつい作品でしたわい(わてくしには幸か不幸か、子はなかったですが)。 

 男性がこれを読むと、女性のキャラクターを見て、女って怖い!と思うかも。
 女性から見れば、キャラに関しては、これってとても普通だから。
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by sitejm | 2006-12-21 21:12 | 読書も好きです(森村誠一作品)

神風の殉愛

d0051212_20551457.gif これも短編集。

「神風の純愛」・・戦後、起業して成功した生き残り兵が、親友の敵の鬼中尉を、復讐のために雇う。ストーリーよりも、日本軍のカミカゼぶりの勉強になりました。

「完全犯罪の座標」・・森村作品の中には、単純なものもある、と分かってなんとなくほっとしました。

「盗めなかった“切り札”」・・もの珍しいユーモア系推理小説。血は出ません。人も死にません。
 でも、是非、主人公の吝嗇ばあさん役に、青島幸男氏でドラマ化してもらいたかった。御冥福を。

「凶原虫」・・マンションに女を囲う会社重役が事件に巻き込まれるのは、おなじみ。犯人が分かるまでのストーリーより、最後の最後がいい感じ。

「終身不能囚」・・紹介済み。

「団地殺人事件」・・民営団地内の住民のエゴの絡み合い、もつれ合いから事件が発生する。森村作品には、「草原の悪魔」とか「鉄筋の猿類」など、団地内の主婦同士の対立ものがあるが、この作品は抜きん出るような嫌なオバハンが登場する。
 2007年以降、こういう問題が多発するのではないかと思ってみたり。

「連鎖寄生眷属」・・これはなんだか面白かった。この人の作品は、残酷で暗い話が多いけれど、いつも極めて現実的。
 しかしながら、他人の家の庭で苦しみ続ける変な女が登場するところから、不思議な雰囲気が漂っている。
 寄生しているのは誰だったか、というストーリーも面白い。

「死導標」・・香水の調香師、帽子のデザイナー、新進気鋭のカメラマン、と華やかな雰囲気の職人たちが登場する。
 デザイナーの起こした事故で視力を失ったカメラマンが、そのデザイナーと結婚するのだが・・・。
 こういうストーリーは好きですね、とても残酷ですけど。自分の人生観に似ているからでしょうか。

「醜い高峰」・・ゴンドラで北アルプスに上った観光客と積雪期の初登攀を目指すクライマーたち。山を取るか、金を取るか、人の命を取るか・・・。短編ですが、スケールが大きくて、一つの映画になりそうです。

「断罪喫茶店」・・いろんな人物が喫茶店を介して接点を持つうちに、犯罪が明らかになっていく。

「殺意を抽く凶虫」・・事件のキーは、人気のない野原で戯れるアベックを覗き見するのが趣味だという平凡なサラリーマンが握る。森村作品にはよくケーキとかお菓子が登場するのだが、作者は甘いもの好きなのかな?

「喪われた夕日」・・過去に読んだものですが、視線を交わすだけで頬を染め、胸が高鳴るほど純真だったあの日は落ち・・・という内容。

「無限暗界」・・これも過去に読みましたが、残酷な悪夢を連続して見た男が最後に見たものは・・。エドガー・アランポー的、ですかね。
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by sitejm | 2006-12-21 20:55 | 読書も好きです(森村誠一作品)

鍵のかかる棺

d0051212_23553091.jpg これもまた復讐系であるが、「鉄筋の畜舎」や「幻の墓」のように、肉親を殺されたことに対する恨みではなく、復讐者本人たちそのもののに関わる恨みがキーになっている。

 一介のホテル・クラークである主人公・山名が、とても素人の手に負えないような事件を暴いていくのが興味深い。d0051212_23554025.jpg
 いろいろ話が飛びまくって、途中で意識まで飛びそうにならないでもない。
 しかし、同じく上下巻に渡る「死の器」ほど浮世離れしていないストーリーなので、次、どうなるの??と先を読ませる。

 この作品のタイトル、変わっているのでなかなか覚えられない。
 「フタのついた棺」だったっけ??と思っていたりして。
 奥様向け商品じゃないんだから。
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by sitejm | 2006-12-09 23:56 | 読書も好きです(森村誠一作品)

ロマンの寄木細工

d0051212_21282922.jpg 森村誠一のエッセイなんてねえ・・・。
 森村なら、兎も角。

 これほど緻密な推理小説を書き上げる作家の、本音が出てくるエッセイなんて、読んでがっかり・・・

 ・・・・じゃないかと思っていて敬遠していた。

 しかし、大間違い。
 森村誠一ファンを名乗るなら、まずココからスタートかと。

 森村誠一氏の作品は、正に森村誠一氏が実際に見て、感じたところから発されるのだと痛感しました。

 ちなみに、森村桂さんも、このエッセイには登場します。
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by sitejm | 2006-12-07 21:30 | 読書も好きです(森村誠一作品)

剥がされた仮面

 もう、さすがにネタはつきただろう、、と44冊の森村作品を読んだ私は思うのですが(本の和では44ですが、作品数で言えば100を超えていると思いますが)、まだまだ尽きていませんでした。いつになったら、この読書は終わるのでしょうか。いえ、本当は終わって欲しくはないのですが・・・。

d0051212_2319342.gifスポニチ出版の「剥がされた仮面」は8つの短編を収録

・「剥がされた仮面」・・証券会社のオールドミスが青酸カリ入りのジュースを飲んで死んでいた。自殺か、他殺か。彼女と関係のあった証券会社のエリート職員が犯人なのか?しかし、アリバイは崩れず・・

・「浜名湖東方15キロの地点」・・経済的に恵まれ、「この世の中に面白いことは何もない」と、朝から舌平目のムニエルを頬張る、学生運動とは無縁の一学生が、思いついた行動とは?

・「螺旋の返礼」・・出世のために男が棄てた女がよこした贈り物。作者は芥川龍之介の影響を大いに受けているのだなあ、と。

・「虚業のピエロ」・・大手ホテルの客室係、大町は、外国休暇中のベトナム帰休兵マーク・デイビスが童貞であると聞き、職業倫理?に反して、思わず人情をかけたところ・・

・「受胎請負師」・・弁護士を廃業になった男が、もぐりの法律相談所を開くと、来るのは変な相談ばかり。ある日来たのは、夫が原因で子供が出来ない主婦が何とか子種を手に入れようと起こした行為が発端で・・・・「むごく静かに殺せ」的だけど、明るい面白さ。

・「情事の欠陥」・・・電車の中で、大手自動車会社の技術管理部長と鞄を取り違えた大学教授。教授の鞄には売れっ子タレントとの情事を写した写真が入っている。技術管理部長から何とか鞄を取り戻そうとするが、なぜか相手は写真は入っていないと主張し・・・鞄の取り違えモノは他にももう一作ありますが、こちらの方がユーモアがある感じ。

・「腐った流域」・・・疎開中に住んでいた美しい村と、その村の尊敬する医者や、懐かしい思い出の人。疎開時期を終えて東京に戻った大学生が、再び村に戻ると、医者は行方不明になり、美しい川は汚染され・・・

・「企業特訓殺人事件」・・・モーレツなしごきのある企業で兄を失った弟は、復讐のためにその会社に潜入する。兄を殺したのは会社か?・・・・「鉄筋の畜舎」の下書きのような感じを受けた。

 どの作品もまた新鮮だったのですが、も一つ新鮮だったのは、この本の表紙がなんとなく森村誠一氏本人に似ているところです。
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by sitejm | 2006-12-02 23:39 | 読書も好きです(森村誠一作品)

単位の情熱

d0051212_20405517.jpg 最近、森村誠一ばっかりに偏るのは良くない、と思って控えていたのですが・・・・やはり、読みました。

 単位の情熱は短編集。
 これまでに既に読んだ短編も入っていますが、「単位の情熱」「社員廃棄院」など、労働力の安易な使い方を背景にしたストーリーが自分には興味深かったです。
 
 「働く人間を員数、単位としか見ないホテルマン稼業から抜け出したい一心で作家を志した」作者の怒りや、冷静にそれを見ているのが読み取れます。

 美容師を扱った「殺意の造型(ヘアー)」は、ちょっと気色悪い系でした。新鮮ですが。

 「特に私の愛着の強いものばかり・・」とあとがきに記されているのにも、なんだか意外でした。
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by sitejm | 2006-11-25 20:48 | 読書も好きです(森村誠一作品)

虹への旅券

d0051212_20365895.jpg 旅券と書いてここでは「パスポート」と読む。
 
 男に棄てられ、23日ヨーロッパ1周旅行に参加するOLを取り巻き、事件が複雑に絡み合う。

 海外を舞台にする日本の小説というのは、少し間違えると、とても無様になりそうですが、普通に推理小説となっています。多分、誰もが答えを途中で見つけてしまうと思いますが。

 海外旅行中の描写は面白いのですが、終わり方が余りにもあっさりしすぎて、あれ?○○や△△(登場人物たち)の立場は???と疑問を抱きながら読み終わった。 
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by sitejm | 2006-11-12 20:40 | 読書も好きです(森村誠一作品)

悪しき星座

d0051212_20354081.gif 森村誠一の作品には、不倫関係がこれでもか!というくらい出てくる。
 おまけに描写が女性の視点からも、とても鋭く描かれていて、なぜ、この人は男性であるのにここまで苦しみや切なさを現実的に描けるのだろう、と不思議に思うほどだ。
 
 しかしながら、作品内ではいつでも不倫はストーリーを複雑にするための小道具の一つ。
 
 この作品では、中心となる悪人が市役所の廃棄物行政担当職員というのが興味深かった。
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by sitejm | 2006-11-12 20:35 | 読書も好きです(森村誠一作品)