神風の殉愛

d0051212_20551457.gif これも短編集。

「神風の純愛」・・戦後、起業して成功した生き残り兵が、親友の敵の鬼中尉を、復讐のために雇う。ストーリーよりも、日本軍のカミカゼぶりの勉強になりました。

「完全犯罪の座標」・・森村作品の中には、単純なものもある、と分かってなんとなくほっとしました。

「盗めなかった“切り札”」・・もの珍しいユーモア系推理小説。血は出ません。人も死にません。
 でも、是非、主人公の吝嗇ばあさん役に、青島幸男氏でドラマ化してもらいたかった。御冥福を。

「凶原虫」・・マンションに女を囲う会社重役が事件に巻き込まれるのは、おなじみ。犯人が分かるまでのストーリーより、最後の最後がいい感じ。

「終身不能囚」・・紹介済み。

「団地殺人事件」・・民営団地内の住民のエゴの絡み合い、もつれ合いから事件が発生する。森村作品には、「草原の悪魔」とか「鉄筋の猿類」など、団地内の主婦同士の対立ものがあるが、この作品は抜きん出るような嫌なオバハンが登場する。
 2007年以降、こういう問題が多発するのではないかと思ってみたり。

「連鎖寄生眷属」・・これはなんだか面白かった。この人の作品は、残酷で暗い話が多いけれど、いつも極めて現実的。
 しかしながら、他人の家の庭で苦しみ続ける変な女が登場するところから、不思議な雰囲気が漂っている。
 寄生しているのは誰だったか、というストーリーも面白い。

「死導標」・・香水の調香師、帽子のデザイナー、新進気鋭のカメラマン、と華やかな雰囲気の職人たちが登場する。
 デザイナーの起こした事故で視力を失ったカメラマンが、そのデザイナーと結婚するのだが・・・。
 こういうストーリーは好きですね、とても残酷ですけど。自分の人生観に似ているからでしょうか。

「醜い高峰」・・ゴンドラで北アルプスに上った観光客と積雪期の初登攀を目指すクライマーたち。山を取るか、金を取るか、人の命を取るか・・・。短編ですが、スケールが大きくて、一つの映画になりそうです。

「断罪喫茶店」・・いろんな人物が喫茶店を介して接点を持つうちに、犯罪が明らかになっていく。

「殺意を抽く凶虫」・・事件のキーは、人気のない野原で戯れるアベックを覗き見するのが趣味だという平凡なサラリーマンが握る。森村作品にはよくケーキとかお菓子が登場するのだが、作者は甘いもの好きなのかな?

「喪われた夕日」・・過去に読んだものですが、視線を交わすだけで頬を染め、胸が高鳴るほど純真だったあの日は落ち・・・という内容。

「無限暗界」・・これも過去に読みましたが、残酷な悪夢を連続して見た男が最後に見たものは・・。エドガー・アランポー的、ですかね。
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by sitejm | 2006-12-21 20:55 | 読書も好きです(森村誠一作品)