野生の証明
「野生の証明」の主人公、味沢岳史は保険会社の新人外務員であるが、鍛え抜かれた逞しい肉体に激しいほどの正義感を持ち合わせている。
丁寧な言葉遣いに誠実な性格が観て取れる一方、ミステリアスな影がある。
「腐蝕の構造」に登場する”大町”も、誠実さと逞しさ、それに加えて何かしら影のある男であった。(余談ですが、森村誠一氏のサイトで氏がコメントされていることには、「腐蝕の構造」がブレイクした当時、世の若い女性から”大町”あての恋文が届いたのだそう。)
一方で、ヒロインも美人で(しかも、ナイスバディということになっている)か弱いながらも、何かを追うために命をかける一途さを秘めていて、感情移入させる魅力がある。
私は推理小説はそれほど好きではないが、森村氏の作品には、人間の苦しいほどに絡み合う感情が描かれており、謎解きもそこそこに、そのドラマに深く見入ってしまうのだ。
今までブログに読書記録を掲載したことがなかったのに、「野生の証明」は余りにも衝撃的で、思わず。
by sitejm | 2006-08-13 23:45 | 読書も好きです(森村誠一作品)