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【読書】白い犬とワルツを

【読書】白い犬とワルツを_d0051212_22115824.jpg 10年前に買いました。
 
 穏やかな物語。主人公は八十過ぎのおじいさん。

 何が面白いのかわかりませんでした。

 あれから10年たって、開いてみたら、身につまされる・・・。

 自分の親も歳を取ってきて、幸い、両親ともに健在だけど、何があってもおかしくない年齢。

 何歳だって、何があってもおかしくないといえば、そうだけれど、体の無理が利かなくなる分、そういう確率が高くなりますよね。

 主人公のサムは妻に先立たれますが、本来、きっと重い悲しみも、そっと描写されています。

 サムは歩行器を使わなければならないほど、足が悪いのですが、あまり悲観的な印象は受けません。

 なんていうんだろう。

 昔の男の人らしく、不平不満があまり出ない感じ。

 娘、息子らが彼を心配しているのに、逆に彼らを心配する始末。
 
 娘らの、いちいちキリキリ心配する様が、自分や姉も、両親に何かあったらこうなるんだろう、と連想させるのです。

 自分は最近、北欧ミステリーや翻訳ものの二流サスペンスを読んでいたので、それらと比べれば、本当に何にも起こりません。この物語は。

 でも、多くの人が経験する両親への心配やその死、そういう経験を体感しました。

 それだけでなく、ワテクシが強く感じたのは、忍び寄る老い(笑)。

 主人公の半分の年齢だけど、こういう風に、何かを忘れたり、何かが分からなくなったり、何かが見えてしまったり、いずれ、するのだろうか・・・と。

 決して、老いは、忍び寄るつもりはないのかも。

 ひょっとすると、
ちーーっす
と爽やかに近づいてくるだけかもしれません。

 そういう意味でも体感させられましたわ。

by sitejm | 2014-05-01 22:12 | 読書も好きです(いろいろ)