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ミレニアム2-火と戯れる女-

 「ミレニアム」は確かに面白かったのです。

 でも、多くの場合、1作目を超えるものはない。

 全世界で800万部の売り上げと聴いて、

ああ、「ミレニアム-ドラゴン・タトゥーの女-」がね

って、思っていました。

 誤解でした。

 「ミレニアム」のラストは、月刊誌「ミレニアム」を事実上救ったリスベット・サランデルの傷心054.gifで終わりました。

 クールなサランデルだけれど、その胸のうちはいかほど傷ついたのか・・・と凡人読者のワテクシは女のハシクレとして、とても嫌な読後感に捉われていました。

 しかし、サランデルは人々の期待を裏切る一方で、裏切らない。

ミレニアム2-火と戯れる女-_d0051212_2073266.jpg ミレニアム2のオープニングは、おそらく彼女的にはかなり傷ついたはずのサランデルの豪遊シーンで始まります。前作で、使い切れないほどの金を手にしましたからね。

 しかも、彼女が欲しかったものをイタリアで手に入れて。
 ワテクシもカネと時間があれば、真っ先に同じことをしますがな。

 そういう乙女なところがあるのが彼女の魅力。
 フェルマーの定理を自力で解いちゃう、ありえない天才キャラなのに。

 ミレニアムでは、新たな動きがあります。
 人身売買と強制売春をテーマにしたジャーナリスト・ダグと、彼の恋人で犯罪学者のミアが登場。

 一方、前作でサランデルが天誅を食らわせたビュルマン弁護士。
 こいつはこいつで、サランデルに対する復讐の炎に火がついてしまったのです。

 サランデルは、彼女を傷つけたミカエルとの接触を絶っていたのですが、サランデルを憎むビュルマンと、ダグの追う犯罪者たちがつながっていくのです。

 犯罪者たちとの絡みで、サランデルの過去も明らかにされていきます。
 彼女の意志とは関係なく。

 前作では真の窮地に陥ったのはミカエルでした。
 今作では、窮地に陥るのはサランデル。
 しかも、彼女を陥れるのは、ミカエルを窮地に陥れたサイコ・キラーとは比較にもならない、とてつもない巨大な敵。

 サランデルの頭脳の冴えさえぶりと、ミカエルの名探偵カッレくんぶりがエスカレートしていくのが面白い!

 かつ、ミカエル、あんた一体、どんだけ・・・というほどの好色ぶり。
 
 作者のスティーグ・ラーソンもそういう人だったんでしょうか?

 ひとつ言えるのは、この人はきっとイアン・フレミングか、映画007シリーズのファンだったのでしょう。

 ミレニアム2の作中二部のタイトルは「ロシアより愛をこめて」。

 007を引用する部分もあるし、ミカエルはJ・ボンドと同じく大の煙草好き、女好き。

 映画「ドラゴン・タトゥ・・・」のミカエルを演じたのが、現在の007のダニエル・クレイグだったというのも偶然とは思えません。

 話が逸れました。

 ミレニアム2は、終わりがありません。

 ミレニアム3にTo be Continuedだからです。

 スティーグ・ラーソンにはやられましたね。

by sitejm | 2013-02-10 20:08 | 読書も好きです(いろいろ)