ミレニアム2-火と戯れる女-
でも、多くの場合、1作目を超えるものはない。
全世界で800万部の売り上げと聴いて、
ああ、「ミレニアム-ドラゴン・タトゥーの女-」がね
って、思っていました。
誤解でした。
「ミレニアム」のラストは、月刊誌「ミレニアム」を事実上救ったリスベット・サランデルの傷心で終わりました。
クールなサランデルだけれど、その胸のうちはいかほど傷ついたのか・・・と凡人読者のワテクシは女のハシクレとして、とても嫌な読後感に捉われていました。
しかし、サランデルは人々の期待を裏切る一方で、裏切らない。
ミレニアム2のオープニングは、おそらく彼女的にはかなり傷ついたはずのサランデルの豪遊シーンで始まります。前作で、使い切れないほどの金を手にしましたからね。
しかも、彼女が欲しかったものをイタリアで手に入れて。
ワテクシもカネと時間があれば、真っ先に同じことをしますがな。
そういう乙女なところがあるのが彼女の魅力。
フェルマーの定理を自力で解いちゃう、ありえない天才キャラなのに。
ミレニアムでは、新たな動きがあります。
人身売買と強制売春をテーマにしたジャーナリスト・ダグと、彼の恋人で犯罪学者のミアが登場。
一方、前作でサランデルが天誅を食らわせたビュルマン弁護士。
こいつはこいつで、サランデルに対する復讐の炎に火がついてしまったのです。
サランデルは、彼女を傷つけたミカエルとの接触を絶っていたのですが、サランデルを憎むビュルマンと、ダグの追う犯罪者たちがつながっていくのです。
犯罪者たちとの絡みで、サランデルの過去も明らかにされていきます。
彼女の意志とは関係なく。
前作では真の窮地に陥ったのはミカエルでした。
今作では、窮地に陥るのはサランデル。
しかも、彼女を陥れるのは、ミカエルを窮地に陥れたサイコ・キラーとは比較にもならない、とてつもない巨大な敵。
サランデルの頭脳の冴えさえぶりと、ミカエルの名探偵カッレくんぶりがエスカレートしていくのが面白い!
かつ、ミカエル、あんた一体、どんだけ・・・というほどの好色ぶり。
作者のスティーグ・ラーソンもそういう人だったんでしょうか?
ひとつ言えるのは、この人はきっとイアン・フレミングか、映画007シリーズのファンだったのでしょう。
ミレニアム2の作中二部のタイトルは「ロシアより愛をこめて」。
007を引用する部分もあるし、ミカエルはJ・ボンドと同じく大の煙草好き、女好き。
映画「ドラゴン・タトゥ・・・」のミカエルを演じたのが、現在の007のダニエル・クレイグだったというのも偶然とは思えません。
話が逸れました。
ミレニアム2は、終わりがありません。
ミレニアム3にTo be Continuedだからです。
スティーグ・ラーソンにはやられましたね。
by sitejm | 2013-02-10 20:08 | 読書も好きです(いろいろ)