くじらのひげ

 大阪の女性が2年前、借金の担保に受け取った鯨のひげ3tが使い道もないまま、保管されているのだという。

 借金の担保にできるくらいの価値はあるとされていた鯨のひげであるが、現在では用途がほとんどない。いや、用途は多分、ない。

 日本人は平安時代には既に打ち上げられた鯨から油を採るということをしていたそうだ。
 捕鯨が最も盛んだったという江戸時代には、行灯用の油の原料として、鯨は大量に捕獲されていたらしい。多分、鯨も大量に泳いでいたのではないかと思う。

 油は鯨の脂肪からだけでなく、肉や骨からもとったと言う。鯨一頭で七浦潤う、といわれるほど、余すことなく使えたそうだ。

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 肉はそれほど食べられなかったとはいえ、学問や文化が盛隆した江戸時代に必要な灯り用の油をとるために、存分に役立ったのだろう。

 一方「ひげ」は文楽の人形の顔の表情の決め手となるバネやからくり人形の動力となるぜんまい、櫛や物差しにも使われた。

 ところが現在では文楽は地域によっては文化財にまで指定されるほど稀なものとなり、からくり人形とは今では博物館に飾られるものであって、それ以上にへんてこな動きをするおもちゃが海外からやってくる。

 櫛や定規なんてプラスチック製で十分である(と思う人が多いと思う)。

 鯨のひげは、江戸文化の衰退とともに、不要になって行ったのかもしれない。

 ではへんてこな動きをする現代の人形の動力や、鯨のひげでない櫛や定規の材料に取って代わったのは何かといえば、ご承知の通り、石油。

 プラスチックの原料は石油だし、人形の部品を作るためのエネルギーは石油エネルギーで発生させた電気を使っているのだ。

 ところが石油価格がこのところ、高騰している。年当初と現在の価格を比較すると、60%も上がったのだそうだ。

 余っている鯨のひげ、高騰した石油の代わりに何とか使えないもんでしょうか??
 (10月16日は70年代のオイルショックが始まった日だそうで、こんな話になってしまった。ちなみにその時の上昇率は20%。)
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by sitejm | 2004-10-16 23:08 | 科学